2016年2月、週末に副業を認める「社外チャレンジワーク」、部門の枠を超えて、他部署でも従事する「社内ダブルジョブ」を認めたロート製薬。目薬最大手の老舗企業の「副業公認」は新たな働き方の形として注目を集めた。大企業の約7割のトップは副業容認に否定的といわれるなか、なぜロートは副業を認めたのか。創業家の4代目、ロート製薬会長兼最高経営責任者(CEO)の山田邦雄氏に聞いた。

■きっかけは東日本大震災
 ――ロート製薬の「社外チャレンジワーク」導入を機に、副業というか、ダブルワークという働き方への関心が一気に高まりました。きっかけは何ですか。
 「いくつかある。1つは東日本大震災。6年前に震災が起きてから、様々な支援活動をしてきた。私は阪神大震災のときに倒壊した阪神高速の近くに住んでいた。なんとか家は住めたが、とにかく自分のことで精いっぱいで何もできなかった。あのときもう少し何かできたのに、という反省もあり、縁もゆかりもなかったけれど、東北の支援を決めた」

 「現地に入ってもらい、実際にやれることを見つけようと、6人の復興支援専任チームをつくった。そこから震災で親を亡くした子どもに高校卒業後の学業支援をする『みちのく未来基金』も生まれた。現地で活躍する支援団体らとの事業は今も続いている」
 ――東日本大震災は、製薬業という本業とは一見関係がないようにも見えますが。
 「そうでもないでしょう。『美と健康を支える』という我々の仕事は、生活につながっている部分もあるから、遠くはないのじゃないかな。何より、東北で、現地で活躍する若い人たちと会ったことが大きい。(支援活動を通じて)既存の枠組みではできないこと、足りないことが世の中に多くあるということがわかってきた」
 「決まった役割のなかで仕事するのが、なんとなくみんな当たり前だと思っているが、本来はそうじゃない。私たちも組織だから、固まったしくみは確かにあるが、ポテンシャルがあるのに力を発揮できてないことも多いのではないかと。それでは新しいことはできないし、もっと自分の意思で仕事をつくるチャレンジをしないと、と社員が考えるようになった」
 「もともと、新しい分野への挑戦はロートの1つの文化。もとは目薬と胃腸薬をつくってきた会社だが、化粧品などの新しい分野に参入したり、早くから海外に進出したりしてきた。東北の経験も経て、去年、『我々は何をする会社なのか』『会社の将来を考えよう』といったコーポレートアイデンティティー(CI)を考えた。それが困難にめげず、常識の枠を超えてチャレンジしよう、という意味をこめた『NEVER SAY NEVER』というCIです」
 「同時に、若手中心にもっと新しい働き方を考えよう、という機運も高まっていた。時短や遠隔勤務とか、いろいろ案はあったけど、そのなかで『少し社外の仕事もできたら面白いね』という声が出てきた。会社としても、これからはそういう方向かな、と思ってドアを開けてみた、という感じ。実は、CIを考えることがメーンだったのだけど、副業のほうが有名になっちゃった。世間的に注目を浴びるなんて思っていなかった(笑)」

■昔はもっと「副業」あったはず
 ――世間の反応をどう見ていますか。
 「政府が(副業の)論議をされているのもまったく知らなくて。ただ、そういう発想が出てきてもおかしくないですよね。今までの枠組みでは社会と適合しない、というのが、世の中のコンセンサスまではいかないけど、気づきとしてあったと思う。上場企業の社長さんは7割が副業に反対や、という調査があった。逆に、3割はやってもいいんやないと考えている。そういうことを思っている人は結構いるんだなと思った」
 「以前からリクルートは副業を認めているし、芥川賞作家の開高健さんなんてサントリーに勤めていたわけだから、昔から元祖はいっぱいいる。今はなんとなく副業なんてNG、となっているが、昭和の頃はもっとアバウトだったんだろうね。確かに、就業規則、コンプライアンス、守秘義務など、厳しくなってくれば、壁を作っておかなければ、という方向に向かってしまうよね」

■制度は「アバウト」
 ――「社外チャレンジワーク」というのは具体的にどのような制度なのですか。申請にあたり、条件はあるのですか。
 「こんなの制度として作るにしても、今までやったこともないしね。ドアをあけたから、やりたい人からやりたいことやってみて、というくらい。やるうちに問題も出てくるかもしれないし、仕組みは後から整えるしかできない」
 「だから制度は、と聞かれても非常にアバウトで。社会人経験が3年目以降ということと、仕事とまったく関係なくてもいいが、何をするのか教えて、ということ。新人で入っていきなり副業したいといわれても、そりゃないやろ、と(笑)。3年生くらいになれば余裕も出てくる。ほかは、まあ一応規定の時間はロートに来てね、くらいですかね。うちが週3、4日、向こうは2日とかになれば本当の副業になるんだろうけど、まずやってみていい意義があるな、ということになってからかな。今はまだやってみてもらっている、という段階」
――「社外チャレンジワーク」に手をあげたメンバーは実際にどんな副業をしているのでしょうか。
 「うちは製薬企業なので、薬剤師免許を持っている人がいる。しかし、入社してから一度も免許を使ったことがないので、一度薬剤師としての業務をやってみたい、と週末にドラッグストアや調剤薬局で働いている人がいる。30~40人ほど手を上げて、半分くらいは続いているね。あとは自分の出身地を応援する仕事をしたい、とか。なかには、両立が難しかったとか、うまく仕事が見つからなかった人もいるようだけど」
――兼業の実績とか、会社側のメリットは出ていますか。
  「今、急にというのはないが、やはりアンテナが広がれば新しいアイデアや、こんな面白い人と知り合った、というのが出てくると思う。兼業の他にも『社内ダブルジョブ』という制度がある。普段は工場で品質管理を担当しているが、再生医療の研究の一部にも参画したい、という例とかね。普通の会社は関連分野を兼務している人は多いでしょうが、全く違う分野の仕事を兼業でやるわけです。社内のほうが人数的には少し多いかな。社内のダブルワークであれば、もう少し調整やサポートもしやすいですからね」
 「いずれにしても一人ひとりの仕事の幅を広げてもらいたい、という流れはかなりできつつある。シングルキャリアだと成長に時間もかかるが、兼業であればいろんな仕事ができる。一方がサブでもう一方がメーン、というわけではなく、これからは複数の業務をやる時代ではないだろうか」

■会社は「道具」
 ――山田会長の考える理想の、働きやすい会社とは。
 「やっぱり、本当の意味の働きがい。役割をただこなし、給与をもらってハッピー、というのではなく、自分で仕事を作り出すこと。当然、そういう風に仕事するほうがしんどいに決まっている。けれど、やり遂げれば結果的に本当の意味での力がつく。そのなかでうちを卒業してもらって、復興支援だったり、ベンチャーを作ったりする人材が育つ会社になればいいなと」
 ――ロートを卒業するというか、辞めてもいいのですか。
 「うちは比較的、定着率はいいほうだと思うが、殻が小さくなったから出て行く、というのは仕方がないし、いいんじゃないかな。逆に家族の海外転勤でやめたけれど、帰国したからまた復帰、というような『出戻り』の社員もうちは多い。会社は道具だから、社員は自由に活用してくれたらいいと思う。そうすればアウトプットも出ると思う」
 「囲い込んで組織を強化していくやり方もあるが、人が循環するなかで育つモデルもあるんやろうな、と思っている。ただほっておくとバラバラになってしまうからと精神的な支えとしてCIもつくったわけです。だけど、今の時代は囲い込み型はしんどいんじゃないですかね」
山田邦雄氏 1956年大阪府生まれ、灘高校を経て東京大学理学部を卒業。80年、曽祖父が創業したロート製薬に入社。99年社長、2009年から現職。


名無しさん
2017/04/06 01:07
本当に力がある人しかできないことだけど、力がある人には自分のためにも社会のためにもいい制度。

名無しさん
2017/04/05 09:14
良い取り組みだと思う。
ぜひ広がって欲しい。
社員の待遇に対して自信がなきゃできないよね。
待遇が悪かったら他所で成功したら辞めちゃうもん。
ほとんどの会社は待遇に自信がないから禁止にするわけで。
他所での経験や人脈など持って帰ってきてくれるって信じてるから送りだせるってのはあるよね。

名無しさん
2017/04/05 14:15
♫ロートロートロート~
♫ロートロートロート~
ロートせ~や~くぅ~~♬♪

名無しさん
2017/04/05 10:14
反日企業ロート不買が効いてきたのか?
ロッテ、花王、ソフトバンク、イオン、亀田製菓、サントリー、ブルボン、ロート製薬、

名無しさん
2017/04/06 07:41
ウチの会社は、道具にもならない(苦笑)
がらくたばかりですわ。(笑)

名無しさん
2017/04/05 07:58
給料を出したくないんだろうな。